堀江貴文被告緊急記者会見(5) 「ニコ動を見る子供が大人になったとき、メディアは変わる」

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 堀江貴文被告は2011年4月26日17時から、都内で自由報道協会の主催により開かれた記者会見に出席。会見で堀江被告が刑期を終える2年後のメディアの姿について問われると、「変える人が出てこないと変わらない。現状維持ではないか」とした一方で、「2年じゃ変わらないが、10年とか20年というスパンなら変わる」と発言。その理由を「ニコニコ動画を見ている人は10代や20代前半が多い。彼らは部屋のパソコンで動画サイトを見ることがライフスタイルになっていて、テレビをあまり見ない。子供はすぐに大人になるので、彼らが大人になったときは大きな変化が訪れる」と語った。

堀江貴文被告緊急記者会見(4) 「テレビの仕組みを変えたかった」

 以下、本記者会見全文。

司会・自由報道協会暫定代表・ジャーナリスト・上杉隆氏(以下、司会・上杉氏):
 時間がなくなってきた。次の質問で終わりにしたい。

日経新聞・ナガオカ氏
 先ほど強制捜査がなければ、経済の状況が今と違っていたのではないかという質問があったが、もう少し具体的に。今の状況に対して、どのように変わっていたのか。

堀江貴文氏(以下、堀江氏):
 ひとつはM&Aの件数がものすごく減った。企業買収がものすごくやりにくくなったと思う。それは僕が捕まった容疑のうちのひとつが、偽計および風説の流布だったが、これは簡単にいうと本来1億円の会社を4億円で買ったことが罪だというのが検察および裁判所の主張。そのときにディスカウントキャッシュフロー法、DCF法といわれるが、この方法を使って価格算定をしている。あろうことか、その書類を作った会計士がめくら判を押したという、僕から言わせれば虚偽の検察官面前調書を取られたおかげで私はなぜか捕まっている。それをDCF法であれ、何であれ、ものすごく慎重に会計士が書類を作るようになったので、費用がものすごくかかるようになった。だからベンチャー企業はM&A怖くてできない。金かかってできないということになっている。なので件数も減る。

 その流れの中で外資系の会社もハゲタカと言われ、日本の会社を買収しづらくなった。本来こういったM&Aというのは効率の悪い経営陣が居座ってダラダラと赤字を垂れ流していたような会社を買い取って再生したりとか、効率をあげていくための非常にすぐれた仕組み。それだけでなく、株主がバラけていると、意思決定のスピードが遅くなる、あるいは株主にあまり配当しなくなったりとか、給料を山ほどもらってしまう経営陣が居座ってしまう。

 例えばテレビ局。なぜか放送法がひっそり改正され、テレビ局の株主はびっくりしたことに単独で34%以上株を持てなくなった。ライブドアがニッポン放送株を買収したりとか、楽天がTBS株を買収したりした流れの中で、後出しジャンケン的に放送法がいつの間にか改正されていて、34%以上持てなくなってしまった。実はその前にも外資規制というものが行われていて、おそらく孫正義氏がマードック氏と組んでテレビ朝日株を買収しようとした時だと思うが、それまで無かった外資規制がいつの間にかできていた。20%以上の株を外資企業が買ってはいけないという法律ができている。なぜかそういった会社が自由な資本市場である東京証券取引所に上場しているという、非常に、極めて特殊な状況にある。なのに資本市場に上場しているメリットということは最大限生かせるという、非常におかしな仕組みになっている。こういったことがされていることが問題だと思う。そういったことが僕らの動きの中でできてきている。

 あと、証券取引法も改正され、金融商品取引法になっている。なぜか罰則の上限がどさくさに紛れて5年以下の懲役から10年以下の懲役になっている。10年以下の懲役というと、同じような重さの罪でいうと詐欺罪と同じになる。いつの間にか結構重罰になっている。こういった重罰の中で運用するとなると上場企業はやはり怖い。膨大なコンプライアンス費用をかけて利益が減っていっている。

 つまり法人税、税収が下がって日本経済がダメになる。政府の財源も悪くなるという悪循環。あるいは上場しているとリスクが高いから、MBO(マネジメント・バイアウト)して非上場化してしまえという動きも昨今では非常に活発になっている。それはコンプライアンス強化の流れがあるのと、東京証券取引所が魅力の無い市場になってしまったことが2つの要素としてあげられる。なんで魅力がなくなってしまったかというと、流動性が下がってしまった。海外からの投資もどんどん先細りになってきた。外人がどんどん売っている。なんで売っているかというと外資をハゲタカ呼ばわりしたりとか、意味不明の株式の持分割合とか、放送法を改正したりとか色んなことをしている。裁判所もおかしな判決をたくさん出す。これは危ない、ジャパンはリスクだと外資系企業もどんどん投資を撤退させているという状況にある。

 しかも、ライブドアという会社は、15万人以上の株主を抱える、たくさんの個人投資家を擁している会社だったが、これを上場廃止にしたから、個人投資家はいなくなってしまった。いなくなるとどこへいったのかというとFXとかやっている。外国為替の証拠金取引というところがものすごく流行った。これは明らかに株式市場、ネット証券の株式市場からFXに移ってきている現象だと思う。ご存知の通りFXというのは本当のゼロサムゲーム。通貨の取引に一定の流動性を与えているという以上のメリットは全くない。ギャンブルと同じではないかと思う。こういったものにお金が流れてしまって、本来日本経済の血液というか、血管というか、心臓部にあたる証券取引所にお金がいかなくなっている。非上場化やお金が集まらなくなっている理由ではないか。

 ライブドアが悪いことをしていると思うのなら、課徴金を課せば済むことだし、上場廃止にすることはなかったと思う。海外には上場維持基準はあるが上場廃止基準は無いはず。ライブドアは必ずしも上場廃止にする必要はなかったと思う。もちろん有価証券取引書の虚偽記載をした場合は上場廃止にできると書いてあるが、しなくてもいい。実際、有価証券報告書の虚偽記載をして課徴金処分を食らった会社でも上場維持をしている会社はたくさんある。堀江が悪い、堀江をなんとかしたいといなら、僕をなんとかすればいい話で、ライブドアの株を上場廃止にする必要はなかったはず。なぜならライブドアはたくさんの現金を抱えていたし、たくさんの社員を抱えて事業は健全だった。実際のところ、その後バラバラにされたが、それぞれの会社は今でも健全に商売をしている。そういうことで、なんのために上場廃止にしたのかということも含め、東証、検察、裁判所は反省をして欲しい。日本経済をダメにした部分は彼らに責任がある。

司会・上杉氏
 時刻は午後6時をまわった。本来は終了の時間だが、あと10分くらい延長する。

大学生・湯浅拓氏
 堀江氏は起業や上を目指そうとする若者のある種のアイコンであったと僕は思う。今回の事件が、若者が萎縮してしまう原因だとも懸念している。若者に向けてメッセージがあるとすれば、どのようにコメントするか。

堀江氏
 中国とか行ったらいいのではないか。中国人と会うと、全然エネルギーが違って楽しい。日本はすごく閉塞しているが、中国人と会って中国で話をすると楽しい。5年くらい中国に行けていないが、行くと楽しい。みんな生き生きと前を向いて働いている。それに対して、潰したりとかそういうことはしない。言論統制はすごくするが。チベットの話とかダライ・ラマの話をすると捕まったりするが、商売をする分には非常にやりやすい国だと思う。ずっと日本にいると、よくない気がする。若い人は特に、絶対世界へ行ったほうがいい。

司会・上杉氏
 中国へは入国できないのか。

堀江氏
 いや、入国できる。ただ行く用事が無かっただけの話。もう当分行けなくなるが、そういったところからパワーをもらった方がいい。視野を広げたほうがいい。世界は広いので、日本だけじゃない。広げてそこで得た知見をもとにして、自分の故郷をよくするというのはどうだろうか。

ニコニコ動画・亀松氏
 堀江氏には何回もニコニコ動画に出演してもらっているが、今後2年間以上に渡って番組に出られないのは残念。今後2年間ということを考えたときに、メディアの業界はどうなっていくのか。特にインターネットとテレビの関係などを中心に、どのようになってくと考えるか。

堀江氏
 変える人が出てこないと変わらない。現状維持ではないか。2年じゃ変わらないが、10年とか20年というスパンなら変わる。なぜなら例えばニコニコ動画を見ているような人たちは10代とか20代前半とか結構多いと思う。彼らはパソコンが部屋にあって、ネット動画サイトを見るということがライフスタイルになっていて、テレビをあまり見なかったりする。もちろんテレビを見ている層もいるが、そうじゃない層も結構いる。子供はすぐに大人になるので、彼らが大人になったときは大きな変化が訪れるだろう。ただ、それ以外はそんなに変わらないだろう。

 本当にものすごくリーダーシップのある首相、日本のリーダーが出てくれば話は別だが、当分総選挙もないと思うし、最短で2年後か。2年後大きく変わるかもしれない。今日本はインターネット選挙活動すらできない非常に特殊な国。こんな特殊な国が先進国に未だにある。もしかしたらもう先進国でないのかもしれない。特に中国人と話をしていると、日本にいざるを得ないことが本当にもどかしい。すごい世界から遅れている、取り残されているという焦燥感に駆られる。掻き立てられる。海外の人たちとビジネスとか色々やりたいと思うが、非常に不自由な立場だったのでできなかった。だけど2年半勤めて出てきたら、できるようになると思うので、そこから失われた7年間、8年間を取り戻そうと思う。

堀江貴文被告緊急記者会見(6) 「不祥事叩き立ち上がれなくする社会危ない」

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]堀江貴文被告緊急記者会見、記事内全文起こし部分から視聴
http://live.nicovideo.jp/watch/lv47840618?ref=news#58:06

(山下真史/宮川幸輔/松本圭司/三好尚紀/土井大輔/丹羽一臣

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